ワワワワワ

ヮヮヮヮヮ

酒田にいった話

酒田駅で電車を降りると、 

私の他に10人ほどの乗客がいた。

初めての酒田駅に心が躍る。

何枚か写真を撮り、

改札を通った時には

もう他の乗客の姿は無かった。


きっかけは友人含め3人で

お酒を飲んでいた時のこと、

''酒田に行ってみたら''という

あなたの一言だった。


あなたはまさか本当に行くとは

思わなかっただろうし、

私もこのタイミングで酒田に行くとは

思いもしなかった。

だからこそ私は意表をついて

計画を立てたのだ。


まずは駅東のラーメン屋さんで昼食を取る。

注文して5分もしないうちに

酒田のラーメン(小)が運ばれてきた。

酒田といえばラーメン。

酒田でラーメンを食べる日が

こんなにも早く訪れるとは、

なんて幸せなんだろうか。

数日前に髪を10センチ切ったので、

耳に掛けた髪が垂れ下がることなく

食べることに集中できた。

髪を切っていてよかった


そして、店主に"大盛りにすれば良かった"

と告げて店を出た。

どうも私は旅先でついつい

愛嬌よく振る舞う癖があるようだ。


それから観光用の自転車を借りて、

街を駆け抜けた。

前カゴには 観光用 と貼られてあった。

恥ずかしい気持ちと嬉しさで

自転車を漕ぐスピードは自然と加速した。


酒田まちあるきスタンプラリー、

雛めぐりのスタンプラリーを

集めながらまわる。


ありがたいことに

学生料金で入れる施設が多かった。

随所で、ポケットから

咄嗟に学生証を出して見せ、

学生です と強調した。

もう少しで大人料金になる。

学生さんですね、と言われるのが

久しぶりに嬉しかった。


その夜はご飯も食べず、

東京タラレバ娘を観てすぐに寝た。


翌朝、港近くのお店で

マグロの親子丼を食べる。

他には男性客が2人。

いずれも観光客のようだった。


辺りを散策したあと、

土門拳記念館を目指して歩く。

出羽大橋の中腹で振り返ると、

鳥海山が手を大きく広げているように見えた。

突如、

アレキサンドロスのワタリドリが

聴きたくなり、

ユーチューブで聴きながら歩く。

着くまでの間、

何回もリピートして聴き続けた。


土門拳記念館。

まるで息をしているかのような

仏像の写真に圧倒された。

土門拳との出会いは初めてであった。

22歳のいま、

彼の写真と出会えてよかったと心底思った。

理由はわからない。

土門拳の写真にただただ心を揺さぶられた。

これから先、その理由がわかる時が

くると思う。なんとなく。


その夜、小さな喫茶店にいった。

そこはホテルから10分ほど歩いたところにある。


仕事終わりのお兄さん、お姉さんと

店主が楽しげに話していた。

帰り際、オススメのラーメン屋さんを聞いた。

店主、お兄さん、社会人1年目のお姉さんが

私の好みを聞き取り、

それに合うところを教えてくれた。

そして、最後にはまた来てねと一言。

私も仕事終わりに、ここで寛げたら

幸せなのに と思いながら、店を出た。


酒田に来て、3日目。

鳥海山ビューポイントへ。

そこからは大きな大きな鳥海山が見えた。

歩いて来た人にシャッターを頼み、

1枚撮ってもらった。

私がここに来たことを証明する写真は

後にも先にもこの1枚だけ。

大切な1枚になった。


その後、オススメの店・三日月軒で

中華そば(中)を無我夢中で食べた。

テレビでは朴槿恵大統領の

罷免決定の速報が流れていた。

この歴史的なニュースをこの場所で

見たこと、忘れたくない。

店内で黒電話が鳴り響いたのも印象深い。

ご馳走さまと引き換えにスタンプを

押してもらい店を出る。


スタンプラリーは1枚どころか

2枚分制覇できた。

商品が当たるように

念を込めて投函してきた。


13時過ぎ、バスターミナルからバスに乗り、

酒田をあとにする。

バスは私が散策した道を惜しみないスピードで走る。


午前中に訪れた鳥海山ビューポイント。

雲が掛かっていて、

鳥海山は裾野さえも見えなかった。

もし、見えていたら

さらに帰りたくない気持ちに

なったかもしれない。

見えなくてよかったのかもしれない。


仙台までは3時間半ほどの道のり。

近いのか遠いのかわからない。

仙台に着いてから、

私は泣きそうになった。


酒田の人が酒田が大好きな理由が

少しわかった。


また機会があれば酒田に行きたい。

今度は夏にでも、

そしてもちろんあなたと一緒に。


おわり